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多事雑言

日常の出来事などについて、無責任に記述していきます。

精神科の薬を飲む人は厳重な管理が必要なのか?

日本の精神科医療の特に薬物療法における悪しき傾向として

「多剤大量処方」というものがある。

とにかく精神科・心療内科にかかると大量の抗不安薬やら抗うつ薬

睡眠薬を処方されるいわゆる薬漬けというやつである。

精神科で使われる薬には主に

がある。

精神科医はこれらを患者の状況に応じ適宜処方するのだが、

その処方の時に同じカテゴリーの薬を何種類か処方する、

その量も1つの薬としては定められた用法内だが、

全部を合わせると過剰投与になっている可能性がある。

また、大量の薬剤を貯めこむことにより過量服薬を招くこともある。

2010年には

www.mhlw.go.jp

このような文書が出されるに至った。

そして、徐々に診療報酬改定による事実上の投薬規制が厳しくなった。

2014年には1回の処方において「抗不安薬を3種類以上、睡眠薬を3種類以上、

抗うつ薬を4種類以上・抗精神病薬を4種類以上投与」すると診療報酬が減額され、

2016年にはこれが「3種類以上の抗不安薬、3種類以上の睡眠薬

3種類以上の抗うつ薬又は3種類以上の抗精神病薬の投薬」で診療報酬が減額される

というように規制が厳しくなってきた。

 

ちなみに、減額されない例外があって、

  • 他の医療機関から移ってきた患者が既に多剤大量処方だった
  • 向精神薬の切り替えのため
  • 臨時に投与した場合
  • 抗うつ薬または抗精神病薬に限り、精神科の診療に関わる経験を十分に有する医師が処方する場合
    ただし、多剤投与の状況を地方厚生(支)局長に報告する。

というものだ。

 

さらにちなみに、向精神薬の多剤投与だけでなく、

向精神薬であるかに関係なく7種類以上の投薬でも減額される。

 

そうなると薬が欲しい人はどうするか

よく言われるのは

  • 処方箋の偽造
  • 複数の医療機関の受診

あたりだろう。

処方箋の偽造が当然犯罪である。

また、こんなことが起こるりえることは調剤薬局でも分かっているので、

おかしな処方になっていたら、医療機関へ照会してバレるのがオチだ。

しかし、複数の医療機関の受診の場合、防ぎきれるかどうか分からない。

というより、防げないだろう。

だから、こんな事をいう人が出てくる。

慶應義塾大学弁論部藤沢会

なんと、

向精神薬を処方された人々を対象とした薬歴データベースを作ります。」

おいおい・・・。

いくらメンタルヘルス不調に対する理解が深まってきたとはいえ、

通院歴を知られたいという人はあまりいないだろう。

処方歴が分かるということは通院歴も分かるのである。

マイナンバーカードとなんかのポイントカードを一体化させて

何をするのか分からない、誰にとってメリットがあるのか意味不明なことを

平気で考えるような国に、こんな薬歴データベースを持たれたら

不安と恐怖しかない。

そして、この国の機関に勤務する人のITリテラシー

ITに関する危機管理能力に問題があるというのは、

年金機構の情報流出で改めて愕然としたではないか。

 

この方は対応として

情報のアップロードは薬剤師が行い、
アップロードに患者が合意することを、処方の条件とします。
これは、このデータベースに登録しなければ薬を処方できないことになる。
患者には拒否権はないということだ。
そして、

 その上で、患者の薬歴を閲覧し、それに応じた処方を行うことを

精神科医と薬剤師に義務付けるのです。

というのだ。

データベースを参照すること自体はインターネット上にデータベースを置き、

パソコンで見ればよいということになるだろう。

しかし、このデータは個人の極めてセンシティブな情報だから、

途中で盗聴されることがあってはならない。

途中の暗号化はできるだろう。

しかし、病院・診療所や調剤薬局がどんな環境でそのデータベースを参照しているか

管理することは難しいだろう。

 アクセス権限は精神科医と薬剤師に限定し、閲覧できる情報は

担当患者の薬歴のみに限ります。

ああ、これマイナンバーと結合させたらいいんだろうな。

ということは精神科の薬を処方されるためにはマイナンバーを

医療機関に通知する必要があり、医療機関と調剤薬局はその管理をしなければならない。

ところで、税負担の公平化を図るために、マイナンバーを勤務先に通知する必要がある。

このマイナンバーを通知された勤務先は、マイナンバーの管理を厳重に求められる。

ということは、おそらくというか必ず、医療機関や調剤薬局にも

マイナンバーの厳重な管理が求められることが想像できる。

この勤務先企業のマイナンバー管理は、

大企業のような人手も費用もかけられる企業はともかく、

中小企業にはかなり負担になると言われている。

その程度の負担を、末端の診療所や調剤薬局に求めるのは現実的だとは思えない。

そして、この方法にはもう1つ落とし穴がある。

精神科の薬を処方するのは

精神科(心療内科・神経科も含む)医

だけではない。

抗不安薬は筋弛緩作用があり、これを肩こり・腰痛の緩和に用いられ、

整形外科などで処方されることがある。

睡眠薬抗うつ薬を内科医が処方することは普通に有り得る。

メンタルヘルス不調に陥った患者でも、必ず最初に精神科等に行くわけではなく、

内科などに行くことがあり、そこでいわゆる精神科の薬を処方することはある。

つまり、これらの医療機関でも薬歴を登録しなければ処方できなくなる。

内科がメンタルヘルス不調の人を診なければよいというのではない。

逆にプライマリ・ケアとして内科医に精神科領域の対応が求められているのだ。

 

そして、上でもさらっと触れているのだが、

多剤処方は何も精神科領域だけとは限らない。

7種類以上の内服薬の制限があるくらいだから、

全診療に対して薬歴データベースを作らなければならないだろう。

 

とかく精神科領域について、何かと厳しい目を向けられるのだが、

精神科領域だけを目の敵にするような動きはよいのだろうか?