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多事雑言

日常の出来事などについて、無責任に記述していきます。

だったら、あなたが派遣社員として働いたらどうですか?

このブログではやたら、正規雇用非正規雇用の格差について、

あれこれ無責任に述べているが、これは自分自身の非正規雇用(主に派遣社員)

としての経験や、今も契約社員として働いているということによる

妬みもあるのかもしれない。

しかし、書いていることは非正規雇用で働いていて本当に起こったことだ。

ある人はこの話をした時、本を書いたらどうかと言っていた。

別に私に文才があるというわけでなく、派遣社員ってそんな事になってるの?

と、正規雇用の人はなかなか分からないからである。

 

今日は

www.sinkan.jp

を餌食にしたい。

まず、著者の大崎玄長氏は

株式会社エヌエフエー代表取締役。1973年大阪府生まれ。

中央大学卒業後、大手経営コンサルティング会社勤務、

独立コンサルタントを経て、2006年東 京都大田区にて

地域密着型派遣会社株式会社エヌエフエーを設立。

設立以来、400社を超える取引企業と累計1万人を超える応募者や

派遣社員のサポートに従事する中、派遣の魅力と無限の可能性に気づき、

派遣社員こそ安定した働きかたでこれからの勝ち組であることを

確信する。近年は「失業ゼロ社会の実現」を目指して

「地元のお仕事紹介サイト『ハロ!わくおさん』」を運営しつつ、

「雇用不安なき成長社会の実現」を目指した新しい働きかたの仕組み

「日本版 PEO(Professional Employer Organization習熟人材雇用組織)」

の確立に努めている 

 のだそうだ。

この経歴だけを見れば、この方は派遣社員として働いた経験はなさそうだ。

どちらかと言えば、派遣社員を右から左へ流して派遣社員から搾取する(というと言い過ぎか?)

立場の人だ。

著者の派遣社員は、一般的なイメージとは逆に、むしろ安定しているという主張について

おそらく派遣社員として働いたことのある人なら

「何言ってんだこいつ」となるだろう。

社会保険が適用され、有休、産休、育休も認められているほか、

クレジットカードの発行やローンも組みやすく、

一定以上の収入があると認められれば正社員と同じレベルの扱いを

受けることができる 

 と言っている。

確かに社会保険は適用される

しかし、よくあるのは、期間が2ヶ月以上の契約の仕事で、かつ、

派遣されてから3ヶ月目から社会保険に入れたり、

厚生年金に入れたりするのだ。

これは、複数の大手派遣会社で派遣社員をしてきたが、どこもそうだった。

いつ飛んでしまうか分からない派遣社員のために事務的な手続きを取るのは

面倒だからということらしい。

正規雇用なら、大体入社と同時に社会保険が適用され、厚生年金に入る。

有休、産休、育休も認められている

確かに有給休暇制度はある。

これは正規雇用でもありがちだが、勤務開始から6ヶ月経過したら付与するという

運用が多い。

この点では正規雇用とあまり変わらない。

しかし、当日突発的に休む場合に正規雇用は当日有給休暇とすることが認められるが、

非正規雇用は当日申し出ても有給休暇は取ることができない。

産休、育休も認められていると思うが、

恐らく産休、または育休を申し出た瞬間切られる。

まあ、そうなると仕事に行かなくてもよくはなるが、

身分が保証された上で仕事に行かなくてもよい正規雇用とはわけが違う。

産休を申し出た瞬間、即交代になったというのは派遣社員あるあるだ。

 

クレジットカードの発行やローンについて

ある程度継続して仕事をしていればクレジットカードの発行や、

ローンを組めるかもしれないが、一般的には難しいとされている。

私は非正規雇用になってからクレジットカードの申し込みや

ローンを組んだことがないが、属性としてはマイナスになるはずだ。

正社員と同じ扱いになるなんてあり得ない。

派遣社員は失業しづらい」

失業の定義にもよるが、そもそも派遣先に雇用されいているのではない。

あくまで派遣元の派遣社員であり、雇用形態からも失業という言葉がなじまない。

派遣期間が終了して、その後の仕事を紹介してもらえないという場合、

失業ということになろう。

もちろん失業保険の給付対象にもなる。

それはともかく、派遣社員は派遣先の都合で切られることはあり得る。

本来、派遣元とは有期労働契約を結んでいるので、やむを得ない事由がなければ

派遣元は派遣労働者を解雇できない。

しかし、少なくとも30日前までの予告があれば解雇できる。

また、派遣先と派遣元の契約解除は民事不介入である。

派遣元には就業機会の確保、派遣先には関連会社での就業あっせん等が求められるが、

そんなお人好しな派遣先、派遣元なんていない。

派遣会社に登録している限り仕事は紹介されるため、

働き続けることが可能です。しかも登録は複数の派遣会社に可能で、

それぞれから仕事を紹介されます。

この「派遣会社に登録している限り仕事は紹介」部分は間違ってはいない。

大手派遣会社は条件に合いそうな人に自動でメールを送ってくれるので、

ある意味紹介してもらえている状態にはある。

しかし、それと実際の仕事に結びつくかは別だ。

紹介はほぼ垂れ流しに近い。

もちろん、複数の派遣会社の登録は可能で、それぞれが仕事紹介のメールを送りつけてきてくれるのは

間違いない。

 

ところがである。

派遣会社が仕事を紹介する対象は1人ではない。

複数人いる。そのメールを受け取った人がその仕事に就きたいと希望すれば、

まずは「社内選考」が行われる。

当然、応募者全員を派遣先に提案することはできないので、

派遣元である程度絞るのだ。

この時の倍率は分からないが、当然選考にもれることはある。

そうなると、仕事にはありつけない。

そしてその社内選考を乗り越えてもまだ安心はできない。

 

事前面接

これは違法だ。派遣労働者を特定することを目的とする行為は行ってはいけない。

事前面接や履歴書の送付などは、この「派遣労働者を特定することを目的とする行為」に当たる。

しかし、やっていない派遣元はない。

まあ、こちらとしてもある程度、どんな人と仕事をするのかとか、

どんな仕事なのかを直接聞きたいので、必ずしも悪だとは思えないのだが、

この事前面接には多くの場合競合がいる。

派遣先は、余程派遣元とのお付き合いとか、以前の派遣社員の働きが良かったなどない限り、

何社かに声をかける。

1社2人連れてきたとして、それが4社あれば確率1/8だ。

したがって、派遣社員が1つの椅子を得るには、かなりの競争をかいくぐらなければならない。

 

さらに3年ルールができた

同一の派遣先の事業所に対し派遣できる期間は3年が限度になった。

同一の派遣労働者を、派遣先の事業所における同一の組織単位に対し派遣できる期間は

3年が限度になった。

www.mhlw.go.jp

これで失業しづらいと言えるのだろうか?

もちろん有能な派遣社員は派遣元が違う現場で継続して働いてほしいので、

次の現場を探してくれる可能性は高い。

また、派遣先が直接雇用に切り替えるということもないことはないが、

特に後者はほぼない。

 

そして、派遣社員も年齢を重ねる。

これはもちろん違法だが、派遣先のオーダーとして「若い女性がよい」ということがある。

若くない女性はそれで弾かれる。男性は最初から眼中にない。

技術者の場合、

よく言われるのは「その人しかできない技術があればずっと仕事を紹介してもらえる」と言われるが、

その技術が陳腐化し使われなくなれば仕事はなくなる。

しかも、技術が特殊すぎて年齢が高いとなると、これまた仕事を紹介してもらえない。

 

雇用安定措置は守られるのか?

派遣会社には次が課される。

(1)派遣先への直接雇用の依頼
(2)新たな就業機会(派遣先)の提供(合理的なものに限る)
(3)派遣元事業主による無期雇用
(4)その他雇用の安定を図るために必要な措置

 

(1)について、まず派遣先が首を縦に降らない可能性が高い。

余程優秀で、その人がいなかったら困るということになれば可能性が0ではないが、ない。

(2)は、これも派遣会社が提供する努力をしても派遣先が決まる補償はない。

(3)はこれも、人によってはあり得るが、それだったら派遣事業の旨味が少なくなるので、

現実的ではない。

(4)は、派遣会社が派遣社員スキルアップの支援をすることなどが該当するのだそうだが、

それができるのならもっと以前からしていたはずだ。

そして派遣会社が提供できるスキルアップの支援内容が何なのか?ということは疑問が残る。

 

大崎さんは「派遣社員がいなければ派遣会社は成立しない、

派遣社員は派遣会社の財産である」といいます。

派遣社員の待遇が悪かったり、職場でのトラブルを放置したりすると、

派遣社員の支持を失い、ひいては派遣会社自身も存続できなくなるでしょう。

と仰るが、派遣社員の代わりはいくらでもいる。

派遣社員という働き方が自分に合っているので続けたいという人もいるし、

不本意派遣社員もいくらでもいるのである。

雇用情勢が改善されたとはいえ、それでも生活のために

不本意派遣社員という選択をしている人も多い。

正規雇用は、売り手市場ではあるが、企業もレベルを下げてまで雇用する気はない。

そして、その企業の求めるレベルは往々にしてハイレベルだ。

余程人手不足の会社でもない限り、採用には慎重であるはずだ。

 

確かに派遣会社は派遣社員がいなければ成立しないが、

それはお金を生み、搾取の対象として存在しないと派遣会社が成り立たないからであって、

派遣社員は派遣会社の奴隷という意味で派遣会社の財産なのである。

派遣社員の待遇改善はしてくれない。

派遣先で問題が起きても、派遣会社のお客さんは派遣先だ。

換えのきく派遣社員は交換したほうが早い。

お客さんを失ったら元も子もない。

派遣社員で派遣会社が派遣社員を守ってくれていると思っている人は少ないだろう。

 

派遣社員という生き方

派遣社員という生き方を望む人を否定はしない。

例えば、期間限定で働き、ある程度お金がたまったら長期の旅行に出てしまう人。

自分のやりたい仕事だけをやりたい人。(これは必ずしも叶わないが近づけることは可能)

あまり責任のある職につきたくない人。(と正規雇用の人たちは言うが、実際には正規雇用の人と

変わらない仕事をしていたり、責任がない職なんてものはそもそもない。

対外的な責任の大小というのはあるかもしれないが、その程度の違いでしかない。)

しがらみが苦手な人。(というが、仕事を一人でするわけでなければ、

何かしら人間との付き合いは発生する。)

派遣にメリットがないとは言わないが、

特に不本意派遣社員の人からしたら、これほど屈辱的な雇用形態はない。

 

だから言いたい。

大崎玄長さん、あなたが派遣社員として働いたらどうですか?