多事雑言

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かかりつけ薬局について考える

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かかりつけ薬局とは、

日本薬剤師会 の説明によれば、

顔なじみの薬剤師がいる。

薬局で、

社会の高齢化が進み、お年寄りが複数の慢性疾患を抱えて複数の医療機関に

通院している場合などに、同じ薬が重複して処方されてしまうケース(重複投薬)など

が増えていますが、かかりつけ薬局は地域の薬の交通整理を行い、

こうしたケースの解消に役立ちます。

というような薬局で、

厚生労働省の策定した国民健康づくり運動「健康日本21」第2次では、

「健康を支え、守るための社会環境の整備」のための拠点の一つに、

「地域住民の健康支援・相談対応等を行い、その旨を積極的に地域住民に周知している薬局」 

という位置付けなのだそうだ。

いわゆる病院の近くにある「門前薬局」と対極にあるようだ。

 

そう言えば、なぜ門前薬局が増えたのか?

いつの間にか医薬分業の名のもとに、それまで当たり前だった院内処方がなくなり、

院外処方が原則という病院が増えてきた。

日本薬剤師会 のホームページによれば、

厚生省が37のモデル国立病院に対して完全分業(院外処方箋受取率70%以上)を指示した1997年以降、急速に進み、2003年に初めて全国の医薬分業率が50%を超えました。

のだそうだ。

確かに、その頃は院内処方を行う病院と、院外処方に移行した病院に分かれてきた。

院外処方になれば、当然その病院の近くに調剤薬局を開店すれば、ほぼ自動的に患者がくる。

これほど、効率的な出店方法はないだろう。

特に大病院の近くなんて、余程儲かるのか多くの調剤薬局が乱立している。

 

院外処方は面倒くさい

あくまで、患者として言う。

医者で会計をして処方箋を持って、調剤薬局に行きまた会計しなければならない。

院内処方なら、会計は1回、薬局へ移動と言っても会計からそれほど離れていない所にあるはずだ。

 

しかし、門前薬局の方がまだいい

薬にもよるが、どこの調剤薬局にも置いてある薬ばかりが処方されるわけではない。

薬局としては、継続的に使ってくれる人がいるなら薬を仕入れるが、そうでなければ、仕入れることはない。

実際、自分が薬局に行ってそのような事を言われたことがある。

処方箋を出した医者の近くの薬局が既に営業時間外で、仕方なく次の日に自宅の近くの調剤薬局に持っていったのだが、

その調剤薬局では、ほとんど扱わない薬なので、今後も使ってくれるのなら仕入れるとはっきり言われた。

しかし、門前薬局ならば大体どんな薬を揃えればよいのかを診療科によって推測できるし、

処方医の処方の傾向が分かれば、どんな薬を揃えておけばよいのか分かる。

そのため、患者にとっても、私が体験したような

「その薬は置いていない。しかも、これまで仕入れていない」という状態が起こる可能性が低くなる。

もちろん院内処方なら、処方医が在庫の薬を把握しているだろうから、やはりこの薬は置いていないという事態はないだろう。

そういう意味で門前薬局の方が使い勝手はよい。

かかりつけ薬局は必要か?

もちろん在宅医療で力を発揮することもあるようだ。

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患者の服用薬をすべて把握することは、重複投与や併用禁忌薬のチェックには役立つだろう。

しかし、どんな薬を飲んでいるかぐらいは患者が把握していればよいのではないか?

そして、お薬手帳などというものに服用薬を記録しているのだから、

それを医師や薬剤師に見せれば、医師や薬剤師に知識があれば重複投与や併用禁忌薬のチェックはできるだろう。

ところで、調剤薬局で本当に重複投与や併用禁忌薬のチェックなどはされているのだろうか?

明らかにまずい場合でなければ、一々医師に疑義照会をしないように見える。

調査にもよるが、疑義照会が行われるのは、処方箋の2~3%程度だそうだ。

となれば、特にかかりつけ薬局制度を推進しなくてもよいのではないだろうか。

 

平成28年度の診療報酬改定案では、

かかりつけ薬剤師は、患者が服用する全ての薬を把握し、患者の理解に応じた服薬指導を実施するほか、24時間相談に応じるため時間外の連絡先を患者に伝え る。医師に情報提供も行い、必要に応じて処方を提案する。患者は「かかりつけ薬剤師指導料」を新たに負担することになる。

と提示されている。

今でも良心的な(?)調剤薬局は24時間相談に応じる連絡先を明示している。

複数調剤薬局にかかっていてもお薬手帳で何が処方されているかは把握できるし、

今でも調剤薬局では他の調剤薬局で処方された薬についても記録している。

市販薬については把握しきれていないが、それはかかりつけ薬局ができたとしても、

必ずしも把握できるとは限らない。

さらに、

医師に情報提供も行い、必要に応じて処方を提案する。

とあるが、これをよしとする医師がどの程度いるのだろうか。

医師も納得の 疑義照会5カ条 - 日経BP

によれば、疑義照会をしてくれるのはよいが、その内容に不満を持つ医師が4割もいるのだ。

疑義照会でこの割合なのに、処方の提案なんて受け入れてもらえるのだろうか?

それに薬剤師は確かに薬のプロではあるが、診療のプロではなく、

患者を診察しているわけでもないのに、処方の提案なんてできるのだろうか。

「かかりつけ薬剤師指導料」を負担させるための政策にしか見えない。