多事雑言

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視点:正規・非正規雇用の分断こそ日本の弱点=ビル・エモット氏

視点:正規・非正規雇用の分断こそ日本の弱点=ビル・エモット氏 | Reuters

これは、アベノミクスの成果の分配の議論や、昨年度来の春闘などでの賃上げの議論でも

話題になっている。

日本経済の低成長の背景にある家計需要の慢性的な低迷と生産性上昇の停滞は、正規・非正規という労働市場の分断に起因するところが大きいと、英エコノミスト誌の元編集長でジャーナリストのビル・エモット氏は指摘する。

既に、日本経済は低成長だと言っている。

そして、家計需要の慢性的な低迷など、まさしくそのとおりだと感じた。

 

日本の経済発展と社会調和にとって、最大の障害は、労働市場の深刻な分断だ。日本の賃金労働者は約60%のインサイダー(正規雇用労働者)と約40%のアウトサイダー非正規雇用労働者、多くはパートタイマー)に二極化している。

アウトサイダー正規雇用者以外としているようなので、正規雇用でない人の割合が非常に大きく見える。

しかし正規雇用が60%だということには変わらない。

この雇用形態による分断は、雇用形態に付随する給与面での扱いや福利厚生などだけでなく、

心の分断もあるのだ。

 

正規雇用非正規雇用の心の分断

会社の中の身分制度(会社カースト)では、役員を筆頭に、管理職、中堅社員、若手社員と正社員がいて、

その下に非正規雇用が存在する。

正規雇用の社員は、新卒入社1年目の社員であっても非正規雇用よりは上に存在する。

案外中堅社員や管理職は、非正規雇用だからといって、それほど態度を変える人はいない。

変えなくても、そのままで比較的偉いので変える必要はない。

しかし、若手社員は非正規に対してやたら厳しい人がいる。

私(正規雇用の新卒1年目)は、非正規雇用を使う立場だ。

だから、あいつらより偉いんだ。と思っている人は非常に多い。

ここに心の分断がある。

非正規雇用には何をしてもよいと思っているのだ。

もちろん、全ての正規雇用の新卒1年目がそう思っているわけではない。

 

私がある日用品メーカーの情報システム部に派遣社員として派遣された時の話だ。

ここには、新卒1年目の社員がいた。

ある日私はシステム運用に関するドキュメントを作成し、

その日の運用責任者であるその新卒1年目の社員に提出した。

すると、帰ってきた言葉は、

「なんで、その程度のことが書かれてないんですか」

と言われてしまったのである。

実は別の中堅社員から引き継いだ時からも特に記載しなくて良いと聞いていたのと、

過去のドキュメントも参考にした上で空欄にしておいたのだが。

 

ちなみに、その人は配属10ヶ月にして、肝心のシステム保守ができない。

プログラムが全く書けないのであった。

そんな程度の人に、非正規雇用だからといって怒られるのだ。

ちなみに男性の先輩社員には猫撫で声で近づいていく。

 

この時ほど、非正規雇用であることが惨めだと感じたことはない。

 

規則も分断されている

非正規雇用は、会社の外部の人へメールを送信することができない。

例えばメーカーのサポートにメールアドレスを伝えてメールがやってきても、

そのメールに対してメールで回答することができないのだ。

また、その部署は非正規雇用は、荷物をロッカーに預け、

スマートフォンなどの持ち込みもできないのだが、

正規雇用だと、荷物は持ち込むことができるし、スマートフォンなどの持ち込みもできる。

それほど非正規雇用は信用されていないのかと思った職場だった。

 

待遇の分断

mainichi.jp

非正規雇用だと7割もの人が年収200万円に届かないのだが、

これは、扶養内で働きたい主婦なども含まれているだろうから、

実際年収200万円に満たないことで困っているだろう人の割合はもう少し少ないとは思う。

しかし、

主稼得者では男性の37.5%、女性の48.9%が「ワーキングプア(年収200万円以下の貧困層)」の範囲に入った。

自分の収入が世帯収入の半分以上を占める「主稼得者(しゅかとくしゃ)」(単身世帯は全員該当)と、

世帯収入の半分未満の家計補助者に分けて集計したそうなのだが、そうなると、

この数字は非常に衝撃的である。

「生活苦への対策で食事の回数を減らした」が20.9%に上った。

「医者にかかれなかった」も13.0%あった。

これは、笑い事ではない。

最低限のレベルの生活すらできないのだ。

いわゆる「働いたら負け」状態だ。

そして、私はこのどちらも経験している。

 

アベノミクスの果実はどこへ行ったのか?

と書いたが、私は実はアベノミクスなんて信じていない。

安倍首相は、アベノミクスによりトリクルダウンが起こり、

隅々までアベノミクスの恩恵を受けることができると行っていたが、

そんなわけないだろうとずっとTwitterで言い続けていた。

そしたら、これである。

www.nikkan-gendai.com

ソースが日刊ゲンダイかよって言われそうだが、

いずれにしても、トリクルダウンで国民の隅々までアベノミクスの恩恵が受けられないことは

はっきりと言っているのだ。

 

そして、今年も安倍首相は経済界に対して賃上げを要求している。

そもそも民間の賃上げを首相が要求するのも変な話だが、これに応じられたのは、

言うまでもなく大企業だけだ。

多くの中小企業診の社員や非正規雇用は置いて行かれた。

今年も置いて行かれるだろう。

こうして、正規・非正規雇用の分断は解消されずに、むしろ拡大していくのだろう。